記帳と清め塩の知識
葬儀に参列する際にまず最初に受付をしなければなりません。受付には記帳簿が用意されており誰が葬儀に来てくれたのか等が後で分かるように住所や氏名を記帳します。訃報は突然やってくるものですので慌てて駆けつけるものですが失敗してしまわないように記帳のマナーも知っておくとよりスムーズに葬儀へ参列することが出来ます。また、葬儀の後には自宅に入る前に玄関先で清め塩を身体に振りかけて使用します。
今回の記事では、記帳と清め塩の知識について詳しくご紹介致します。
清め塩の知識
お清め塩とは葬儀に参列した際、会葬礼状などと一緒に渡される身体を清めるために使う塩のことです。お清め塩は自宅に入る前、玄関先で身体に振りかけるものとして使われます。しかし、宗教や地域の風習などにより考え方が異なりますので儀式の必要性に迷った場合は信仰する宗教や個人の考え方に従うとよいでしょう。本来神道で行われてきた儀式で、神道では死を穢れと認識していた事から塩を体にまくことで穢れがはらわれると考えました。
お清め塩を体にまく適切なタイミングは、葬儀から帰宅した時です。家に入る前に行うのが基本的なマナーとなっているため、葬儀でお清めの塩を受け取った場合は忘れないよう備えておきましょう。清めないまま家の中へ入る行為は、穢れを持ったまま家へ入ることを意味すると考えられています。葬儀で受け取らなかった場合は、近隣の商業施設などで購入しても問題はありません。家族が家にいるのであれば、玄関に入らないように手渡しで塩を受け取っても良いでしょう。地域によっては、移動のために利用した車に乗り込む前が適切とする場合もあります。
使い方
塩を用いてお清めする予定がある方は適切な流れを理解しておきましょう。具体的な方法は塩をひとつまみ取り、胸、背中(肩)、足元の順に振りかけ、最後に手で軽く払います。1人で背中に手を回すのが困難な場合は、背中に近い位置の肩に振りかけましょう。「足元に軽く振りかけるだけ」といった事も現在では増えていますが、負担に感じないのであれば正しい方法でできるとより安心です。
注意点
清め塩自体、近年では慣習的に行っている事がほとんどです。ですから必ず行わなければいけないということではありませんので気にならないようであれば行う必要はないともいえます。清めの塩は宗教によっても判断がわかれるもので、この習慣に疑問を投げかける宗派もあります。浄土真宗では死を不浄とする考えに基づくお清め塩は、迷信であるとしています。ですが、ご自身で気になるのであれば清めの塩が用意されていなくても行っても構いません。清めの塩をするか否かはご自身の気持ちに従って判断すれば良いでしょう。
記帳の知識
葬儀には個人で参列するのみならず、夫婦で参列する場合もあれば誰かの代理や会社の代表で参列する場合もあるかと思います。それらの場合では記帳方法も少し異なりますので注意が必要です。まず夫婦での参列すら場合では、二人が共に参列した事が分かる様に二人分の名前を書きます。先に夫の名前をフルネームで記入し、その横に妻の下の名前のみ記入しましょう。住所は夫の欄に記入し、妻の欄は空白でかまいません。なお、芳名カードが用意されている場合には一枚に二人分の情報を記入し、その場合にも夫はフルネーム、妻は下の名前のみを記入しましょう。
親族の方であればつい「記帳しなくても分かる」と思ってしまいがちですが、先に述べた様に遺族の方の負担や手間を増やしかねない上、葬儀後に行う挨拶回りや香典返しの段取りを喪主本人がするとは限りませんので、仮に段取りを依頼した場合に依頼された方にとっては芳名帳に記載されている情報が頼りになりますので親族であってもきちんと記入するようにするのがマナーです。
会社を代表して参列する場合には、会社の代表として来たことが分かる様に記入します。住所は会社の住所を記入し、会社名を書いた後に「代表 フルネーム」といったように自分の名前をフルネームで書きます。その際に可能であれば部署や役職も添えるとなお良いでしょう。故人と特に面識がない場合には自身の名前を書かずに会社名のみを記入する場合もあります。
代理で参列する場合には受付にその旨を伝え、本来参列するはずだった方の住所と名前を記入しましょう。この際に間違えないように正確な住所などをメモして行くと良いですね。その後(代)あるいは(代理)と書いて自分の名前を記入しましょう。会社の上司などから代理を頼まれた場合にも会社の住所と会社名を記入し、その後に上司の部署や役職などと共に名前を記入します。その後に(代)あるいは(代理)と書いて自分の名前を記入しましょう。妻が夫の代理(またはその逆)として親族以外の通夜に出席する場合には、夫(または妻)の名前を書き、その後(内)と記します。親族の通夜であれば(家)と記入することで家族の代表者が来たことを示せます。
代理で参列する場合などに通夜に参列できない人から香典を預かる事もあります。その場合には受付で香典を預かっている旨だけではなく誰から預かっているかという事もしっかりと伝え、仕事関係であれば本人の会社名や役職なども知らせましょう。香典を預けた人の住所氏名は芳名帳に記帳しなければなりませんのでこの際に間違えないように正確な住所などをメモして行くと良いでしょう。自分の香典を渡す際に預かっていることを伝えておけば仮に記入を忘れてしまっても受付係が記入を促してくれるのでなお安心でしょう。
記帳の流れの知識
記帳は通夜と告別式のどちらにもある手順で自宅で葬儀を行う場合には受付がない場合もありますが、葬儀場で行う場合は受付が設置されています。通夜と告別式の両方に参列する場合にはどちらにも記帳するようにしましょう。
親族の場合は一時間程前から会場入りするのが一般的ですので到着したらすぐに記帳を済ませておきましょう。一般参列者の場合は、受付は式の三十分程前に始まります。通夜の開始直前頃には受付も込み合ってしまいますので可能な限り開始十分前までには到着し通夜の前に記帳を済ませておくとスムーズです。やむを得ない事情で時間が取れず焼香だけで帰るという場合には式の三十分から十五分前程度には到着する様にし記帳を済ませたら受付係に焼香のみをしてで帰る旨を伝え式が始まる前に焼香を済ませましょう。
受付ではまずお悔やみの言葉を伝えましょう。その際に長々と話し込んでしまうと受付の仕事を妨げてしまうことになりますので、お悔やみは短くシンプルに伝えましょう。またその際に死因を尋ねることや忌み言葉はマナー違反ですので避けましょう。
記帳をするのは香典を渡す前である場合もあれば後になる場合もあります。基本的に受付係がタイミングを促してくれますので記載するタイミングを気にして慌てる必要はありません。受付係から促されたら芳名帳へ記帳しましょう。芳名帳は通夜の参列者を遺族が把握する上で欠かせないものですので、香典を渡す渡さないに関わりなく参列をしたら必ず記帳します。この際に名前しか書こうとしない方も見受けられますが、芳名帳に書かれた住所は遺族が行う挨拶まわりや香典返しの際に必要な情報ですので、例え故人や遺族の方とどんなに親しくても遺族の手間や負担を増やさない為にも住所までしっかりと記入するようにしましょう。住所を記入する際も分かるだろうと県や市を省略して記入するのは避け、マンションやアパートの場合には号棟や部屋番号までしっかりと書くようにするのがマナーです。
また芳名帳とは別に香典帳が用意されている場合もあります。香典を持参した場合には芳名帳と香典帳の両方に記帳するようにしましょう。
注意点など
先に述べたケースは基本的なものですので、もっと具体的な個々のケースもあると思われます。どうしても分からない時は受付係に尋ねてもかまいませんが受付係の方も全てを把握しているとは限りませんので前もって調べて知識があると安心な上スムーズです。
例えば子供を連れて通夜に参列する場合もあると思いますがその場合には基本的には親の名前だけを芳名帳には記入します。しかし、子供の名前を記入してはいけないというわけではありませんので故人や遺族と特に親しい場合には子供の名前も記入します。また、家族葬などごく親しい人のみで執り行われる場合には、子供の参列にも大きな意義がありますので記帳しましょう。
故人との付き合いが古い場合などには遺族が自分の旧姓しか知らないという場合もあるでしょう。かといって遺族が挨拶状や香典返しを送付する際に旧姓だと届かない可能性や手間が生じる場合もありますので芳名帳には現在の住所を記入するのは勿論、現在の名前を書き、その横に(旧姓 ○○)と記入すると良いでしょう。
先に少し触れましたが、近年では芳名帳ではなく芳名カード(会葬カード)が使用される場合も増えてきました。芳名カードは横書きである事が多く、芳名帳と違い他の人と並べて記入する必要もないので字を書くのが苦手な方や書き方に迷う場合でも気兼ねなく記入出来ます。芳名カードには、住所や名前・会社名や役職・そして故人との関係性を示す項目がありますので可能な限り全ての項目に記入しましょう。
当記事の前半部で自宅で葬儀を行う場合には受付がない場合があると記載しましたが、その他にも受付で記帳しないという場合が大きく分けて二つあります。まず、あらかじめ名前や住所が分かっている人に関しては記帳しないという場合です。例えば香典の額を一律とした自治会のメンバーに関しては香典袋で出席を確認するとしている事もあります。また、家族葬など参列者が限定されている葬儀などで通夜に芳名帳を準備しない場合もあります。もう一つは、参列者が予想以上に多く対応しきれない場合や通夜の開始時間に間に合わない等に突発的なトラブルが発生した場合などです。その際には緊急の対応として、受付係が香典袋の住所と名前を確認して通夜会場へと誘導するという場合があります。